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ミュンヘン スペシャル・エディションミュンヘン スペシャル・エディション
出演:
角川エンタテインメント
発売日 2006-08-18


1972年のミュンヘン五輪。パレスチナ人ゲリラが11人のイスラエル選手を人質にとる。結局、人質は全員死亡。スピルバーグ監督が歴史の暗部を直視した本作は、その後、イスラエル側による報復作戦にフォーカスが当てられている。暗殺グループとして組織された5人の工作員が、事件に関与したとされるパレスチナの重要人物を標的に、ヨーロッパ各国で暗躍。次々と彼らを暗殺していく。
スピルバーグの視点は、あくまでもニュートラルな立場を貫き、イスラエル、パレスチナのどちらかに肩入れすることはない。実際のニュース映像も挿入した五輪の事件や、前半の暗殺シーンは、徹底してリアルで、ときには過剰なまでのグロテスクな描写もある。中盤からは、立場が変わって命を狙われる工作員の心理ドラマが観る者を圧倒。報復の虚しさが伝わる展開になっている。工作員のリーダーを演じるエリック・バナが、その葛藤を全身全霊で体現。ラストシーンはニューヨークなのだが、その風景に追加された「あるもの」の映像もまた、終わらない報復の悲劇を訴えているようだ。(斉藤博昭)


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THE 有頂天ホテル スペシャル・エディションTHE 有頂天ホテル スペシャル・エディション
出演:
東宝
発売日 2006-08-11


大晦日、様々なイベントが目白押しでごった返すホテル・アバンティ。そんな時に副支配人の新堂は別れた妻と再会。妻は再婚していたが、その再婚相手はホテルの目の上のタンコブであるコールガールのヨウコと浮気を。そんなことは知らぬ新堂は、つい元妻に見栄を張って大嘘をついてしまう……。という話はごく1部。主な登場人物だけで20名以上もおり、それらの人々が織りなす2時間の物語がリアルタイムで、しかも絶妙に絡み合って展開していく。面白いのは舞台っぽいところ。あえて1シーン1カットにこだわった撮影が舞台っぽさを強調し、ちょっとやりすぎではと思える笑いの要素(特殊メイクなども含めて)も引っ掛かることなくサラリと見せてしまうのだ。三谷ワールドは全開だし、俳優たちの演技合戦も相当に楽しい。観て損なしの作品だ。(横森文)


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フライトプランフライトプラン
出演:
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日 2006-05-24


急死した夫の遺体を飛行機で運ぶカイル。しかし、一緒に乗ったはずの娘が、機内で行方不明に…。乗務員や他の客たちは、娘がいなかったと証言。乗客リストにも名前が残っておらず、娘の荷物も消えているという衝撃サスペンス。ジョディ・フォスターが、自分の記憶を信じ、必死に娘を探すカイルを演じる。
映画の前半は「結末がどうなるのか?」という謎に翻弄されるドキドキの展開。すべてはカイルの妄想かとも思わせるが、機内の怪しげな人物、乗務員の不可解な言動、さらに正体を隠して乗り込んでいる捜査官の存在や、ジョディの迫真演技で、謎は深まるばかり。結末については、観る人によって意見が分かれるかもしれない。ストーリーと同じくらい見どころなのは、本作のためにデザインされた飛行機の内部。2階にも広がるエコノミークラスのスペースや、ゴージャスなバー・カウンター、迷路のような隠しスペースなど、そのユニークな構造は一見の価値アリだ。(斉藤博昭)


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キング・コング 通常版キング・コング 通常版
出演:
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
発売日 2006-05-25


30年代。製作途中の映画を打ち切られそうになった監督デナムは、映画を完成させるため&今までにない冒険映画を撮るため、海図にも載ってない“髑髏島”を目指す。だがそこは死に絶えたはずの恐竜や巨大昆虫、巨大なゴリラ(コング)が住んでいる島だった。しかも女優のアンが原住民にさらわれ、コングの生け贄にされてしまうのだった……。
ピーター・ジャクソン監督が情熱のありったけを注ぎ込んで33年製作の同名映画をリメイク。愛情を込めすぎて、リアリティ重視なのかエンターテインメントとして描きたいのか、わからなくなるような視点のブレは正直否めない。でも約3時間の上映時間を釘づけにさせてしまうのはさすがジャクソン監督。平気で人をぶん投げ、恐竜を拳で殴り倒すが、愛する者に対しては心優しい“野獣”なコングも魅力的。(横森文)


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ロード・オブ・ウォーロード・オブ・ウォー
出演:
日活
発売日 2006-06-09


ウクライナから移民としてアメリカへ渡り、武器の密輸商人となったユーリーがたどる衝撃の運命。ユーリーのキャラクター像や、エピソードの数々は、実在の武器商人の証言を基に作られている。ソ連の崩壊により、余った武器を、アフリカの独裁国家などに横流しするユーリーを、インターポールの刑事ジャックが追跡。そこに、ユーリーの妻や弟との悲痛なドラマが絡んでいく。
危険な顧客を相手にした、ユーリーの臨機応変の対応が見もので、ニコラス・ケイジが、本心を表情に出さないユーリーにハマリ役。「リベリア」といった実際の国名や「ビン・ラディン」、さらにはアメリカ大統領の責任にも言及するなど、あまりにも現実的な要素やセリフに、観ているこちらが「ここまで描いていいのか?」と心配になるほどだ。世界に存在する銃の数なども、恐ろしい現実を伝える。ただ、映画作品として、全体にサスペンスなのか、人間ドラマなのか、はたまたブラックコメディなのかが曖昧。ジャンルを特定させない不可解さも、アンドリュー・ニコル監督の作風なのだが。(斉藤博昭)


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ALWAYS 三丁目の夕日 通常版ALWAYS 三丁目の夕日 通常版
出演:
バップ
発売日 2006-06-09


昭和33年。東京の下町の自動車修理工場に、集団就職で青森からひとりの少女が就職してきた。六子は大きな会社を期待していたが、小さな工場でガッカリ。それに怒った社長の則文だが、やがて六子は則文の妻トモエや息子の一平らと仲良くなり、一家になじんでいく。一方、売れない作家の茶川は、飲み屋のおかみのヒロミから、親に捨てられた少年・淳之介を押しつけられ、一緒に生活することに。最初はけむたがっていたが、淳之介が自分が原作を書いている漫画のファンだと知り、次第に距離が縮まっていく。そんなとき、淳之介の本当の父親が現れ…。
東京タワーが完成し、白黒テレビが出始めた昭和30年代を舞台に、人情味溢れる下町の人々の心温まるエピソード満載の感動作。堤真一(工場の社長)薬師丸ひろ子(社長の妻)吉岡秀隆(作家)小雪(飲み屋のおかみ)など人気と実力を兼ね備えた役者陣も好演だが、一平演じる小清水一輝のヤンチャさ、淳之介演じる須賀健太のけなげさが、この映画のチャームポイント。また下町の人情がホノボノと胸を打つゆえに、後半のさまざまな別れには泣かされっぱなしだ。昭和の景色を再現したCGも見事だが、やはり映画は映像だけでは語れない。人々のやさしさに、心の清らかさに触れることのできる原作(西岸良平の同名漫画)のハートを山崎貴監督がきちんと映し出したからこそ、感動できる映画に仕上がったといっても過言ではないだろう。(斎藤 香)


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